朝からセミが鳴き出し、いよいよ「夏真っ盛り」、
生ビールの美味しい季節になったが、こんな猛暑の中、酒も飲まずに、
それどころか水も食べ物も口にせずにひたすら自宅でひっそりと静かに過ごしている人々がいる。
「人々」とはイスラム教徒のこと、「自宅でひっそり」とは日の出から日没まで飲食を絶つ、
いわゆる「ラマダン」のことである。
アジアではインドネシアやマレーシア、シンガポール人やタイ人の一部などもそうだ。
今年は6月28日が始まりで、7月27までの一カ月間、昼間は何も口にしてはいけない。
だからイスラムの国ではこの一カ月は殆ど仕事にならないと言う。
何かで読んだが、エジプト出身の大相撲力士、大砂嵐(大嶽部屋)は、敬虔なイスラム教徒で、
昨年のラマダンも名古屋場所とぶつかったが、イスラムの教えを厳格に守り、場所中は何も食べずに取組みにも稽古にも臨んだそうである。
食事は他の力士が寝静まった深夜に一人で調理して食べたそうだ。
本当だとしたらものすごいことだ。
今年の名古屋場所もまさにラマダンの真っ最中、角界初のイスラム力士、大砂嵐の活躍に期待したい。
ところで本コラムの主題は相撲ではなく、取り上げたかったのは「ハラル」のことである。
イスラム教では、ラマダン云々の前にそもそもアルコールや豚肉など「この食を禁ずる」という厳しい戒律がある。
これに対しこれは「食べてよし」というのが「ハラル(“許された”の意)」である。
全世界にイスラム教徒は13億人いると言われ、最近「ハラル市場」という言葉が出て来た。
実は日本を訪れるイスラム教徒旅行者は増えており、ここにハラルのビジネスチャンスがあると言われている。